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地墨とは?概要や必要な道具、関連する専門用語、作業手順などを詳しく解説

2024/03/14

建築業でよく耳にする言葉に「地墨」があります。
「地墨」とはそもそもどのような作業で、どのような作業手順を踏むのでしょうか。

また、地墨を行う際に、いろいろな専門用語が使われます。
ふだんの生活にはなじみが少ない言葉なので、わからない方も多いのではないでしょうか。

そこで、地墨の概要、必要な道具、作業手順などについてこの記事では詳しく解説します。

建築業にたずさわる人や、これから建築業に就職したいという方はぜひご参考にしてください。

地墨とは?概要や必要な道具、関連する専門用語、作業手順などを詳しく解説

墨出(墨打ち)しとは?

工事に必要な中心線、幅腺を示すためにコンクリートや木材に墨壺やチョークなどを使って印をつける作業のことを言います。
工事の結果を左右する大切な作業です。

墨出しの種類

基本的に以下の3つがあります。

A:【陸墨(ろくずみ)】…工事の際、基準となる高さを示すものです。
B:【上がり墨】…陸墨よりも上に打つ墨のことを言います。
C:【下がり墨(腰墨・水墨)】:陸墨よりも下に打つ墨のことです。

地墨とは?

床や平面の中心位置を示すために基礎や捨てコンクリートにつける印のことを「地墨」と言います。
設計図を実際の工事に落とし込むもので、床の高さや照明などの正しい位置設定を目的とするものです。

地墨に関連する専門用語

地墨の現場で使用される専門用語をご紹介しましょう。
作業の際は専門用語をよく理解しておく必要があります。

A:【芯墨(しんずみ)】

壁や柱の中心を示すもので、組み立ての精度を高めるために大切な墨です。

B:【逃げ墨】

本来の打つ場所から1mや50cmなど一定の距離をおいて墨を打つことを言います。

C:【親墨】

設計図を基に壁のでこぼこを防ぎ、垂直に建物を立てるために使用される最初に打たれる墨のことです。

D:【子墨】

コンクリートに壁や柱の位置の大きさを示すために使われる隅で親墨を基準にして使用される墨のことを言います。

地墨に必要な道具は?

以下の8つの道具が地墨をする際に必要です。

A:墨差し

墨汁を使って短い直線を引く時に使用される水平や垂直の基準線を引くための道具のことを言います。

B:墨つぼ

つぼの中に墨を染み込ませた線を入れておく道具です。

C:チョークライン

水平レベルや寸法を明示するため木材やコンクリートなどにチョークを使って直線を引きます。

D:レベル

レーザーレベルとオートレベルとの2種類あり、水準測定や地面の高低差を測る際に使用されるものです。
レーザーレベルの方はレーザーを使って測量をするもので、1人でも測量ができます。
オートレベルの方は、自動的に水準線を補正可能です。

E:レーザー墨出し器

電動で墨付けを行い、水平・垂直ラインを確認します。

F:測量器

角度を測定するセオライトと角度と速度を測定するトータルステーションの2つがあります。

G:糸巻き

手でハンドルを回して糸を巻き取るものと、自動的に糸を巻き取るものとの2つがあります。

H:下げ振り

垂直を確認するために、糸に重りをぶら下げる道具で、水準器と比較してより正確に測ることが可能です。

建設許可は必要?

地墨の作業は建設の際に要となる大切な作業ですが、建設許可は必要なのでしょうか。

実は、地墨は建設業による工事とはされていないので、建築許可は不要です。
とはいえ、大規模な建設現場では建設許可が必要なので注意しましょう。

地墨の作業の流れ

地墨の作業の流れをご説明します。
設計図の線が建設現場にどのように反映されるのかを把握するためにも、作業手順を知っておくことは大切です。

次の順番で、地墨の作業を行います。

手順1.設計図面の基準となる所に印をつける

水平線を理解したり柱や壁の基準線を把握したりするために、設計図面のポイントに印をつけ、業務効率化を図るのが目的です。

手順2.基準線を引く

記載した印を参考に基準線を引き、作業の目安としますが、この時芯墨などの墨を使用します。

手順3.基本墨を階上のフロアに移動させる

まず、基準線を引いたら、逃げ墨の交わる点から階上のフロアの床まで15cm程度の穴を開けます。
そして、階上のフロアから交点まで振り器を下げて位置が正しいかを確認しましょう。
さらに、墨を階上のフロアの床下まで移動させ、最後に交点を4墨程度出したら基準線を引きます。

手順4.階上のフロアに移動させる

基本墨を上のフロアへ移動させたら、陸墨も上のフロアへ移動させます。
2フロア以上に移動させる際は、鉄骨や柱などを利用して1階から基準の高さがわかるようにしておくことが大切です。

手順5.墨出しをする

上のフロアに陸墨を移動させたら、コンクリート床面に対して柱や壁の位地の墨出しを行います。

まとめ

ここまで地墨について解説してきました。

地墨とは、工事の際に基礎や捨てコンクリートに記載される印のことで、工事の成功のカギを握る大切な役目を持つものです。
また、地墨を行う際は、墨つぼなどさまざまな道具が用いられ、関連する独特の専門用語もたくさんあります。

建築業にたずさわる人やこれから建築業をめざす人はこの記事に書かれた手順や専門用語をしっかり身に付けておくとよいでしょう。